成人の日って、すでに正月休み明けで身体がまだ仕事についていけてない時に有難い祝日と化していますが、本来は成人になった人をお祝いする日ですね。
だけど成人式って、いったい何かね?という話です。
この記事は、成人の日に成人式に行かない人をやゆしていたツイートを見てしまい、イヤ~な気分になったことから書こうと思いました。
成人式には行くべき?着物は着るべき?
成人式って、いつごろからあるのでしょうか。
本来は、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」日としてあるそうです。
しかし、成人の日のニュースは、なんだか色々とモヤる事が多いです。
晴れ着を着て成人式に出る慣習は、いつごろからのものなのでしょうか。
成人式に出るだけなら、振袖を着る必要もないし、晴れ着でなければいけないわけでもないですよね。
なぜ、テレビやニュースでは、晴れ着で決意を読む若者や、晴れ着で暴れる若者をお約束のように映すのでしょうか。
19歳で成人式に出席したとき
自分も、19歳で成人式に振袖で出席しました。
当時は母子家庭になってて、家はお金なくて、自分もバイトでしたが働いていました。
「成人式に出ても、高校の時に引っ越していたので、引っ越し先の土地では知り合いもいないし‥」
と思っていましたが、昔住んでいた市の成人式にも出られるようでした。
しかし、七五三の時も着物を着るのがイヤで逃げ回っていたぐらいです。
一度だけしか着ない着物を買っても仕方ないし、成人式で着た振袖は着回しづらいし、買っても保存しておく場所もないし。
思えば当時はスーツすら持っていませんでした。
自分にとっては、あまり興味のない行事でした。
20歳前になると、「来年は成人式か」と話題になり、めんどくさいなと思っていました。
ある日、高校の時の友人が
「成人式の着物レンタルできるから行かない?」と聞いてきました。
成人式の3ヶ月ほど前のことでした。
早くいかないと、もうあまり良いの残ってないかもとのこと。
なんとなくそれで、行く方向になりました。
誘ってくれた友人も母子家庭で、当時バイトしながら学生やってました。
今から思えば、何でバイトで学費稼いでる子らが、着物レンタルの金も捻出してわざわざ成人式出なきゃいけないんだろうと思います。
着物のレンタル代だけじゃありません。
成人式当日は、朝早くに起きて、予約した美容院で髪を整えてもらい、着物を着つけてもらって、写真展で写真を撮りました。
一度家に戻ってから、成人式へ向かいました。
母が居て、「大したことはできないけど」と、1万円お小遣いをくれました。
そのあと、家の前で写真を撮ろうと言って、当時の愛車FZ400Rの前で晴れ着で写真を撮ってもらいました。
正直、写真店で着物の帯を綺麗に見せるからとねじれたポーズで撮った写真より数倍良い顔で撮れていました。
成人式会場では、中学の頃からの友達なども会い、合流して、式後はオシャレなお店で会食しました。
しかし、せっかくの料理も着物が苦しくて思う存分食べられませんでしたし、久しぶりの友達とも、共通の話題は減っていました。
色々話はしたものの、もう同じ環境にはいないのだなといった感覚が自分の中にあったようでした。
成人式に着物で行かなきゃならない決まりはない
成人式は、表向きは着物で出席するようには言われていません。
しかし、晴れ着を着ている子が居ればテレビなどで取り上げるでしょうし、あれだけ着物を着ている若者が映し出されて
『○○市はネズミ―シーで開催されて晴れ着姿の若者が訪れました』
なんて報道があれば、そういうもんなのだと言わんばかりではありませんか。
「振袖を着る機会だから成人式に出る」という理由もわからないでもありませんが、1月の一番寒い時期に、寒風にさらされたり、雪まみれで振袖は大変です。
なにかと自然災害や天候に影響を受けやすい国ですが、寒さが厳しい時期に入試があったり、成人式があったり、しなくて良い苦労をさせる変な国です。
コロナ禍のオミクロン株流行で感染者数が急増しており、集団で集まるのも危険な時期に、人口が減りつつある若い人を集めるのも危険です。
これを書いているのは、2022年の成人の日から数日すぎてからですが、やはり成人の日でクラスターが発生しており、集まってしまえば式後に飲みに出かけるなどは自然に起こりえることです。
上からストップしないと止まらない慣習の法則ですね‥
成人の日に成人式って必要なの?
『勤労感謝の日』に『敬老の日』、『こどもの日』など、特別に何かするでなく祝日になりますよね。
成人の日だけ、どうして自治体ぐるみで『成人式』をすることになっているのでしょうか。
進学や就職で地元を離れてしまったら、式に出るためだけに帰省しようと思う人はそれほど居ないでしょう。
ヤレ着物だスーツだと物入りになりますし、さらに交通費もかかるし。
正月帰省したばかりだったらなおさらです。
地域によっては、地元を離れてしまった成人の方々が帰って来るお盆の時期に式をずらすなどしているところもあるようです。
しかし、そこまでしてやることなの?
ニュースでは、成人式の出席率を伝えたり、被災地の若者が「はたちの決意」をするなど。
決意をするのは立派ですが、個人の決意を公に表明する必要もないんじゃない?
まさか、全員の意見として発表してるわけじゃないよね?
人生なんて今後どうなっていくかもわからんのに、なんでそんな事をみんなに言わなくちゃいけないの?
成人式だけ、なんでこんなことすんの?
自分も、「みんなやってるから行くなら合わせる」みたいに着物で成人式出ましたが、着物準備するのも楽ではなかったし、親は特に行けと言ってたわけでもありませんでした。
なくても困ることはなかったし、行かなければ余計な出費もなくて済みました。
まあ、着物で写真撮ったいきさつまで「ある意味独特な思い出」にはなりました。
儀式はオンラインで、お祝いは個人個人でイイジャナイ
七五三のときに泣いて逃げ回った私も、その後、母が買ってくれたかすりの着物が気に入って、着物アレルギーはなくなったようです。
友達に着物レンタルしようと誘われなければ、着物を着て成人式に行くこともなかったであろう私ですが、結婚式前に逃げるように結婚をやめたので、自分の晴れ着はそれが最後でした。
写真屋さんで撮った写真は、出来上がりを見たあと、まったく見ることはないままです。
周りと同じことをしておこうと思った割には、周りとの違いがよりハッキリしたような気もします。
20歳となったら、それぞれ生活様式はかなり変化があって当然な年齢です。
18歳ですら、高校を卒業したばかりで色々と変化が大きい年齢です。
なんで揃いも揃って成人式に出ることが当然のようになってるのでしょうか。
正直、『成人式』も『着物』も、自分には特に必要なかったです。
自分が「大人になったなあ」って感じる時って、人それぞれ違うはずです。
みんなで一斉に大人になった線引きすることはないよなあと思います。
成人式に出ないと成人になれないわけではないです。
20歳になったら成人って一斉に線引きしていますが
高卒で仕事に就く人も居ますし、今は18歳で選挙権があります。
20歳でも学生で仕事してない人も居るし、それなのに年金は払わされてます。
そんで、2022年の春には、「成人」が18歳に引き下げられるとのことです。
高校卒業して成人です。
各自治体では、成人式は「今まで通り20歳で行う」ことにするところも多いとか。
選挙権があれば成人?
働いていれば成人?
20歳なら成人?
18歳で成人?
ますますもって成人の定義が意味不明です。
まんがで見るハレの日
別冊の連載ばかりで本紙掲載を虎視眈々と狙っていたあの頃‥
漫画家だった私が本紙デビューするきっかけになったのは、『美味しんぼ』の休載でした。
代原として、私の作品が中とじカラーで発表されることになり、わずかながらもそのおかげで自分の作品の認知度があがりました。
単行本は出せなかったのに、漫画をやめた後も、過去作品をアップすると「これ見たことある」と言われることもあります。
最近では、ネット上でジェンダー論などでもやり玉に挙げられる『美味しんぼ』です。
思い起こせば、お正月にはヒロインが晴れ着で出社しています。
出版社に晴れ着で出社する社員てどんだけ余裕ある両家の子女でしょう。
栗田ゆう子さんのお父さんは大学教授との設定ですが、この数年の不況で、大学の教授も非正規雇用が目立ちます。
初期の頃の美味しんぼには、成人式の話も掲載されています。
第6巻『卵とフライパン』は
コックとして働いており
「お仕着せの成人式なんか、とろくせえや」と言い放つ若者の話です。
30年以上前の話ではないかと思いますので、前からこう思う感覚はあるのですよね。
栗田ゆうこさんも
「確かにお仕着せで下らないと言えば下らないわねえ‥‥‥」
と、ズケズケ言い放ってました(笑)。
だけど、栗田ゆう子さんはなにかにつけて着物着ています(笑)
同じ服を着てることも多いですが、ハレの日にはきちんとおめかしして服を新調しているようです。
現在、会社勤めしている人で、着物で初出社する人はどれだけいるでしょうか。
わかってます。
漫画だからハレの日の演出は必要不可欠なのです。
2段3段ぶち抜きとかで、晴れ着の全体像を出せば、紙面が華やかになって読者サービスにもできるんです。
私も、過去に描いた漫画では、親から無理に勧められた望まないお見合いに行く主人公とその家族が晴れ着を着ています。
晴れ着は見栄えが良く、演出もしやすいのです。
しかし、最近ではお見合いだって個別からパーリーまで多様化してラフになってますし、両家のウンタラカンタラみたいなのもなく、大げさに着飾ることはせずに、軽く会食とかです。
初出社で振袖を着るのは、デパートの売り子さんとか受付とか、見せてナンボの職業ならともかく、よほどの大企業でなければ廃れつつある慣習ではないかと思います。
不況が続き、仕事につけない若者も増えて、振袖でで出席するハードルもますます上がりそうです。
振袖成人式の慣習も、初出勤やお見合い同様、徐々に減っていくかもしれません。
和服や着物も売れなくなっているようで、日本の伝統文化が廃れることを心配する声もありましょう。
寂しくもありますが、国じたい貧しくなってますし、個人的にはムリして合わせなくて良い風潮へ流れてしまえばよいと思います。
成人の祝いですら格差が可視化されるなんてつらいじゃありませんか。