2022年7月25日、アクアライン上りトンネル入り口付近でゴミ収集車の横転事故がありました。
朝に起きた事故は、昼を過ぎてもレッカー車が間に合わず、通行止めは翌日明けた夜になっても続いているようです。
通行止めの情報以外詳しい報道があまりない事故でしたが、夜になってようやく出てきた続報に驚きました。
横転したトラックを運転していたのは50代の女性だったとのことです。
最近人手不足だと言われている清掃会社ですが、労働条件にムリはなかったのでしょうか。
木更津市アクアラインのゴミ収集車の事故は清掃会社の人手不足で過重労働が招いた?
アクアラインにある海ほたるのは、東京湾横断道路株式会社が運営しています。
みなさんご承知のとおり、海ほたるはパーキングエリアとしての役割のほか、足湯や海の見える大回廊などあり、ちょっとしたおでかけスポットです。
東京湾横断道路株式会社は、本社は東京都品川区ですが、アクアライン事業所は木更津市となっています。
横転したトラックの色は水色で、木更津市のホームページにある『一般廃棄物収集運搬許可業者』のページの中にある回収車の色とよく似ています。
事業所が木更津市なので、木更津市で収集を委託しているのでしょう。
事故でなくなったトラックの運転手さんは、このホームページの中にある回収業者の会社で働いていた方でしょうか。
56歳の女性が一人でゴミ収集車を運転している違和感
この事故の報道ですが、始めは「男性」と報道されていました。
清掃車の仕事では、女性はまだめずらしいので、男性だろうと思われていたのでしょうか。
今どき、大型トラックだけでなくバスも電車も女性の運転士さんは見かけます。
ですので、「女性が運転!」だけでは驚くことはないのですが‥
わが市のゴミ回収車は、男性2人が組んで行っています。
わが市のゴミは個別回収で、家の前に置いてあるゴミを集めて回収車へ投げ入れる人と、運転する人が必要となるのです。
通勤で他市へ通っていた事がありますが、通勤先の市でも、ゴミ清掃車が通りかかるときは、2人で回収をしていましたので、女性が1人でゴミの回収と知り、
「これは無理ではないか」とすぐにモヤモヤしました。
トラック運転だけでなく、回収運搬作業も行う、体力のいる仕事です。
千葉のハローワーク求人情報に、ゴミ収集車の求人がありました。
例1
有限会社 堀井商店ハローワーク館山の求人
本社:
清掃センター: どちらかの勤務フルタイム 正社員
月給 180,666円~271,000円南房総市の地域内においての、ごみの収集車の運転または運転補助のお仕事です。
・ごみの収集、選別作業(色選別があります。)
・ごみ収集車の運転または運転補助
・ごみの収集作業終了後は、作業所において選別作業等があります
受付日:2022年6月1日 紹介期限日:2022年8月31日
例2
匠.開発 株式会社
ハローワーク木更津の求人フルタイム 正社員
月給 230,000円~285,000円
ゴミ収集車にて、各事業所及び飲食店をまわり収集した一般廃棄物を、袖ケ浦市クリーンセンターへ持ち込む仕事です。
戻ったら各事業所ごとの数量を用紙に記入して、業務終了。残業になることはほぼありません。仕事が終わり次第、定時前でも帰宅できます。受付日:2022年6月1日 紹介期限日:2022年8月31日
例3
松戸市環境清掃協業組合
ハローワーク松戸の求人フルタイム 正社員
月給 190,900円~224,900円
・松戸市内、家庭系一般廃棄物収集運搬等・ごみ収集車の運転及び助手・一般家庭ごみを2人1組で収集し、運搬する。*応募の際は必ずハローワークで紹介状の交付を受けてください。受付日:2022年6月17日 紹介期限日:2022年8月31日
清掃の求人は、2人1組となっている場合もありますが、そう明記されていない案件も。
若くて体力のある女性ならまだしも、(それでも1人は厳しいです)、50代半ばを過ぎた女性には体力的に無理があったのではないでしょうか。
清掃会社の人手不足が深刻?コロナ禍で拍車がかかっている
清掃会社の求人は、検索してみるとけっこう見つかりました。
コロナ禍が始まったばかりの頃、マスクが捨ててあるゴミに触れる恐れがあるからと、ゴミ回収に関して注意喚起している自治体もあったようです。
実際、都内の自治体では、清掃員が感染して人手不足となり、ゴミ回収が間に合わないケースも出ていました。
ゴミの回収日が減るとアナウンスしている自治体もあったと記憶しています。
業務委託で断れない?民間委託の清掃会社
通常でも2人1組での作業が多いはずの清掃作業ですが、今回なぜ女性1人での任務だったのでしょうか。
事故現場の映像や画像を見たところ、横転したゴミ回収車からゴミが散ってはおらず、海ほたるへ回収へ向かうところでの事故ではないかと推測します。
事故の発生時間が9時過ぎ頃ですので、朝一番で出かけたのでしょうか。
亡くなった運転手はいつも通っているルートだったのか、初めて行く場所か。
週明けで体調はどうだったかも気になるところです。
行政からの業務委託となると、入札で安い金額で落札されるケースが多くあります。
会社員としてでなく、業務委託で安い収入で働いていたならば、ダブルワークしていた場合なども考えられます。
自分も身に覚えがあります。
行政法人の派遣で給料が安く、残業がなかったことから、生活費の足しにとダブルワークをして身体を壊しました。
元気だと思っていても、若くても、ムリをすれば体は壊れますし、余裕がないと心の健康も失います。
トラックドライバーの仕事は、男性ですら過酷だと言われています。
果たして、亡くなった運転手さんは、どのような働き方だったのでしょうか。
高齢化する3Kの背景
昔は、3K(キツイ・キタナイ・キケン)のガテン系仕事と言えば、体力だけは有り余っている若い人がお金を手っ取り早く稼ぐ常套手段でした。
「ガテン系」と言うのは、当時、肉体労働に特化した『ガテン』という求人誌があり(2009年休刊)、そのように呼ばれていたのです。
それが、最近では、びっくりするような高齢の方がガテン系で多く働いて居たり、それに比例して事故のニュースも頻繁に見かけるようになりました。
新潟のおせんべい工場の火災も、記憶に新しいところです。
2022年2月、新潟の製菓会社の工場で、夜間のシフトで働いていた70代を含む女性4人と、従業員の男性2人が、避難できず命を落としてしまいました。
夜間のパートタイムで、避難訓練も受けていなかったとのことでした。
70代で働く女性と言えば、駄菓子屋かタバコ屋の店番しているおばあちゃんのイメージぐらいしかなかった私にはショックでした。
そして、トラック運転手という仕事も、近年は生活でいっぱいいっぱいの若者ばかりで、車を買うよりネット機器、都心であれば公共交通機関があるので、高いお金を出して自動車免許を取る人も減っているのでは。
今回亡くなったトラック運転手さんの年代は、若い頃に誰もが運転免許を取ろうとするような時代でしたので、ドライバーという仕事ができる人は、ある程度年齢のいった人が増えているのではないでしょうか。
タクシー運転手さんも、中年ほどの女性が増えています。
一時期人気沸騰していた『逃げ恥』というマンガ(ドラマ)では、主人公と仲良しの叔母「ユリちゃん」が、若い子らを車に乗せて運転しながら
「本当に今の若い子って免許持ってないのね」
というセリフを思い出します。
トラックドライバーやダクシードライバーも、なり手が高齢化して激減していくのでしょうか‥
女性があらゆる分野で活躍しているようなテイで、仕事があまりにもないのと、人手不足で、そこへたどり着いたようにも思えます。
社会のバランスがことごとく崩れているように感じられます。
この事故は、ただの事故で済ませてはいけない背景があるのではないかと、モヤモヤが止まりません。
コロナ感染拡大に熱中症も加わり、救急車が到着しても、受け入れ先病院もない状態が続いています。
始めはけが人として報道された方は、夜のニュースでは死亡と報道されました。
背景を思うと、また色々な社会システムの疲弊が覗けて、気が重くなります。
誰もが無理せず働ける社会になれないものでしょうかね‥