自分が親に似てきたなあと思うことって、誰しもあるのではないでしょうか。
大人になって、ふとしたことで、
「そういえばこれ、親がやっていた‥」と思い出す。
あの頃は、ダサいと思っていたのに、親の服装や趣味、しぐさなど、今では自分が普通にやっている‥
自分も親の年齢になってしまったのか‥
子を持って知る親のナンチャラと言いますが、子を持たずとも、親の年齢に近づけばわかることがあるのでした。
とうとう自分も手を出したコール天
深夜になると、グッと冷え込む季節となりました。
机で作業をしていると、窓からのすきま風もあり、足元から底冷えがしてきます。
エアコンをつけて、机の下にはパネルヒーターをつけています。
しかし、冷えはスキマを狙ってやってきます。
エアコンの風は届かず、パネルヒーターの暖気も届かない太ももや膝まわりなどは、ひざ掛けをしていても、座りっぱなしで血行が悪いと、暖まりにくくなります。
冷えは腰痛もひきおこし、作業を停滞させる要因となります。
スパッツすら突き抜ける寒気は、ひざ掛けだけではふせぎようがない‥。
そう思い、スーパーで、スパッツの上にさらに履くことができる「なにか」を探しました。
そして、ついに‥アレを見つけ、購入してしまいました。
アレとは‥
コールテンのズボン!!
母が「コールテン」と読んでいたので、最近まで知らなかったが、最近ではコーデュロイともいう。
ズボンやスカートのボトムスや、、ジャケットに使用する生地。
いわゆるあったかアイテムの構成要素である。
マジで保温効果半端なく、昨今の裏起毛にも匹敵する、古くからある素材。
母が昔から愛用していたので、てっきりオバチャン御用達品かと思いきや、別にオバチャンだからコールテンと言うわけでもなく、ユニクロなどでも売っていて、若い人もカジュアルに着こなすファッションアイテムであった。
多摩川を越えると寒い東京
あれはまだ、自分が20代の頃でした。
親元を離れて男と暮らしていた私は、出戻って実家に居候していました。
実家に戻ったら気楽かと思うかもしれませんが、過去、私の部屋であった四畳半の部屋は、物置と化していました。
タンスや本棚、その他ふだん使わない物が置かれている隙間にかろうじて布団を敷き、半間の押入れは開き戸なため、その前にだけフリーのスペースがあることから、そこへ折り畳み式の机と椅子を設置して、漫画の締め切りと戦っていました。
収入の半分を家に入れろと言われ、さらに家事も分担で当番制で、実家に戻った方が自由がないぐらいでしたので、その頃は、とっとと金を貯めて一人暮らしをして、思う存分仕事に集中したいと願っていました。
久しぶりに戻って来た家は、とても寒かったです。
自分の境遇が寒かったということでなく、気温が低くて物理的に寒い状態でした。
離れて住んでいた頃も、冬場に実家へ向かうと、多摩川を越えたあたりから、電車の窓がサァーッと白く煙るのです。
担当編集さんが原稿を取りに来てくれたときも、しょっちゅう
「こちらは気温が3℃は違いますね」とか
「こちらは星がきれいですね」とか言われました。
そんな地域ですから、当時、近所にあったダイクマという大型ホームセンターでは、冬場になればあったかジャケットやズボンなどがワゴンセールで安く売られていました。
母は、そういうところから500円だか1000円だかで掘り出し物を見つけては買ってきており、そのおさがりを私はもらって、出戻りで居候している間は着ていました。
そのおさがりの中に、さもあろう、コールテンのズボンも入っていたのです。
一人暮らしを始めてからも、引っ越ししたばかりの頃は、足りない家庭用品を買ったりして服を買う余裕はなかったので、母のおさがりの服は重宝しました。
会う人なんて編集さんぐらいですし、オシャレする金銭的余裕も時間も動機もなかったのです。
おさがりの服は着古されてボロボロになり、いつしか処分していました。
多少余裕が出てくると、まだ若かったですので、安いにしても、もう少し若者むけのユニクロとかでフリースなどを選ぶようになりました。
ヒートテックはもちろん今も愛用しています。
しかし、ウン十年ぶりに自分で購入したコールテンのズボンが、これがまたなんと暖かいことか‥!!
オバチャンを極めて行く自分
一人暮らしを始める頃、自分には微かにあこがれる風景がありました。
自家製お汁粉を食べ、自家製の漬物食べる生活。
すなわち、田舎のばあさんのような生活です。
ストーブのそばにはネコがいて、犬もいるとなお良し。
そんで、なんか煮炊きしながら、絵を描くとか、手芸するとか、なんかの手作業をしている自分。
外は暑かったり寒かったりしても、家の中は美味しいものを作っている香りがして、ゆったりとした時が流れている。
ストーブには煮物の鍋なんかもかかっていて、焼き芋も焼いてたり。
それは皆、子どもの頃に見た、母がしていた暮らしぶりでした。
あの頃は、特に感想は持たず、母が何かしている横で、自分はコタツで漫画を描いてたり、宿題をしていました。
なぜそれを、自分でやろうとしているのかすら、あまりよくわかりませんが、とにかくそれがなごむというか、安心感が出るようになりました。
母がしていた事だけでなく、近所のオバチャンがやっていたぬか床作りとか、小豆を煮てお汁粉を作ったり、白菜をつけてみたりする生活に憧れました。
今ではスローライフなんてカッコイイ言葉で言われるようになっています。
酸化防止剤や食品添加物などが少ない、自然の保存食を作るって身体にも良いし、それらに「時間的余裕」や「心のゆとり」が感じられるところが、惹かれるのかもしれません。
もっとも、ゲンダイと昔とでは、生活様式だって変わっているのだから、昔の女性がやっていたことを真似してやるのはかなり大変で、意外とお金もかかるし、かえってそんな真似をしてストレスになる場合もあります。
10年前の日記ブログでは、お汁粉をふるまわれて感動している自分がいました。
⇩
おまねき
ここから数年後、すでに自分でお汁粉作って食べるようになっています。
(※一人称がワタクスなのは気にしないでください)
モモヒキ履くぐらいなら死んでやると言った罰当たりな店長
それにしても、コールテンのズボンの暖かい事と言ったら‥
今、こうして深夜にブログを書いていても、足元はまったく寒くなく快適です。
10代の頃、バイトしていた喫茶店の店長は、店長と言ってもヤンキーあがりでまだ20代前半でした。
バイト先の喫茶店はスーパーの中にあり、スーパーごと一斉休日などもあった頃で、皆で各店舗の人らと車を数台に分けて日帰りスキーなどに出かけることもあり、私も2・3度誘ってもらって出かけたことがあります。
ある日スキーの話をしていて、当時まだ20代の店長が
「以前は気にならなかったのに、最近寒さがこたえるから、年とったなーと思う。」
と、ポツリと言いました。
私はその頃、まだ高校生でしたが、父がモモヒキを履いていたのは知っていたので
「モモヒキをはいたら‥」と言ったところ、
まだ若い店長は、10代のバイトに言われてオッサン扱いされたと思ったのか
「そんなもん履くくらいなら死んだ方がマシだ」などとのたまいました。
今、店長は寒さに震えているでしょうか。しんでいるでしょうか。
過去の発言など忘れて暖かく過ごしていても、私は責めたりはしません。
保温をしっかりするのは、山で星を見に行くようになってから意識するようになりました。
山でひと晩星を見てすごすと、一週間はお腹が緩くなるのです。
「これは30代までが限界かもしれない」と思うようになりました。
加齢とは、寒さに敏感になるということです。
速乾性のある化繊が良いとされています。
汗をかいて乾きにくいと、急に気温が下がった時などに命取りになるからです。
自分はオバチャンであると自覚したとき
自分が年をとってきて、「オバチャン」になっても気にならなくなったのはいつ頃だったかと思い返せば、寒さに抗うようなバカな真似をしなくなったころからではないかと思います。
しかし、オバチャンも中盤に入ってくると、ホットフラッシュなどの症状が出るようになります。
母と離れて暮らして、久しぶりに泊まりに行ったとき、横に並んで寝たのですが、母が暑い暑いと言って、冷房をガンガンつけて寝るので、横にいる私が屋内で低体温症で死ぬかと思いました。
オバチャンは寒がりで暑がりなのです。
20代の頃、高校時代からの仲良しの友人に子供が生まれました。
友人は、自分の子供に私をオバチャンとは呼ばせないようにしてくれていました。
しかし、ある日、立ち寄ったマクドナルド内の隣の席で、ヤンママが、自分の子と友人とでお茶をしていました。
その時、まだ独身らしいその友人が、小さな子に向かって
「オバチャンに貸してみな!」
などと言っているのが聞こえました。
「そうか、あんなに若い子でも小さな子から見ればオバチャンなのか‥」
と、なんとなしにバツの悪い思いもしました。
30代前半の頃には、近所で小さな子がこちらを見ているので、笑ったところ
「オバチャンが笑って見てるよ~」
と母親にニコニコして言っていて、そのお母さんは
「オバチャンじゃなくてオネエチャンでしょう」
と言い直させていたことがありました。
申し訳なく思いつつも、その時はまだ
「まあ小さい子にとってはオバチャンだよな‥」
などと思っていました。
しかし、ようやく誰が観ても立派なオバチャンになり、オバチャンで上等でせいせいした気分です。
あいまいなオネエチャンモドキを引きずることがなくなり、楽になりました。
オバチャン向け商売ってどう?
とげぬき地蔵で有名な巣鴨は、『おばあちゃんの原宿』としても有名な街です。
とげぬき地蔵尊へ続く地蔵通りの道沿いには、延々とおばあちゃんのハートをわしづかみにする甘味処やお洋服屋さんがズラリと並んでいます。
私の住む町も門前町なので、参道沿いにささやかながら、甘味処やミセスだかマダム向けのこじんまりとした洋品店があります。
以前は見向きもしなかった洋品店でしたが、ここ数年、めぼしい掘り出し物を見つけるのが楽しみになりました。
若い頃は、
「オバチャンはどうしてオバチャン向けの店に集まるのだろう。だからオバチャンになってしまうのに」
とか思っていたはずでした。
違います。
オバチャンは、オバチャンだからオバチャン向けの店に行くんです。
なぜなら、オバチャンの体型に合うお店で買った方が、快適な服が見つかるからです!
洋服も、ティーン向けの11号サイズと、20代以降の大人向けの11号サイズとでは、大きさが違うんです!
自分は子どもの頃ヒマン児でしたので、20代の頃の方が痩せていました。
ある日、仕事でブラウスが必要になり、たまたま側を通ったリモーネという昔からあるブティックに入りました。
やせて、9号でも入るようになっていた自分は、11号で伸縮のある生地だから余裕だろうと、店員さんにコレをと言ったところ
「試着はしなくて良いですか?」と聞かれました。
昔よりずっと瘦せていたし、試着とかが面倒なタイプだったので、一度は大丈夫だと思うと言いましたが、店員さんが
「サイズ合わない場合もあるので‥」と言うので、では念のため‥と試着室に入って着てみたところ
胸がパッツパツで入らないのです!
これで11号なのか?とビックリして購入はやめました。
それ以来若者向けの店は可愛かろうと安かろうと入っていません。
安いブラウスなら、今はしまむらやGUなどで買えますが、当時は西友とかダイクマで買ったものです。
西友は今でも心強い味方です。
それからン十年経った、ここ2・3年のこと。
近所のオバチャンブティックのワゴンセールで、1,000円のチュニックをみつけました。
花柄の色違いで、裏起毛が暖かそうで、何にでも合わせやすそうだと思い、普段着に良いと買ってみたところ‥
コレが‥衝撃の着心地!!
オバチャンになると、体型が変化して胸がでかくなる人がいます。
太れば、背中に肉づきも良くなります。
私のことですが。(笑)
そのチュニックは、胸の両側、脇の少し内側にタックが入っており、でかい胸もゆとりをもって覆い、目立たなくさせます。
さらに、背中の肩甲骨の間にも、ひとつタックが入っています。
背中に肉がついても、ぱっつんぱっつんにならず、ゆったり着られる工夫がされているのです!!
部屋着として着たおしているので、若干ぐったりしてきました。
これなら、いくら太ってもスッキリオバチャン!
デブなんて怖くない!
これこそが、オバチャンがオバチャン御用達の店で購入する理由なのです!!
『楽を極める』こそ、オバチャンの神髄!!
思えば、コールテンのズボンの前に、このチュニックに出会ってたことが、私のオバチャン道に火をつけた気がします。
オバチャン御用達のネットショップを開きたいぐらいだ!
無謀にも、そんな夢想を始めてしまいます。
『オバチャンホンポ』という名前はどうだろう!?
アカチャンホンポの丸パクリですが、大変気に入って自分でゲラゲラ笑いました。
調子に乗って、登録商標申請まで考えてしまいました。
とりあえず、特許庁で検索をしてみたところ‥
なんと!オバチャンホンポが審査待ちで申請されています!!
おにょれ~!どこのどいついだ!
しかもアカチャンホンポの丸パクリのロゴまで‥!!
(イヤ、これはさすがに通らないのでは‥笑)
同じようなこと考える人居るんだなあ~‥
その日は、それで終わりました。
オバチャンホンポの正体
翌日になっても、あきらめやまぬ私は
またオバチャンホンポを検索しました。
すると‥先日は、特許庁のサイトのみでの検索でしたので、気がつかなかったのですが、なんと‥
オバチャンホンポは、実在していました!!
オバチャンホンポで検索した結果、ある求人広告がGoogleトップへ飛び込んできました。
アルバイトサイトの求人のため、掲載期間がすぎればなくなってしまうかと思い、魚拓をとりました。
なんと!オバチャンホンポは埼玉県に存在する
「熟女レディ」専門のバーだったのです!
しかも、ただのBARではなく
BA・BAR(ババ―)とかっっ!!!
埼玉県上尾駅徒歩5分!
ウチから片道2時間だと、ちょっと通勤はむずかしそう!
しかし、アカチャンホンポから怒られないのでしょうか?(笑)
そして、アカチャンホンポはベビー用品のショップのはずですので、
BARとなると、「オジチャンホンポ」のほうが目的意図に沿っているのでは‥??
なんにしても、似たようなことを考える人はいるってことですね!
それにしても、私の母は昔、ブティックの雇われ店長をしていて、お得意のお客さんも抱えていたので
「いずれ自分のお店が持てたらいいのになあ~」
なんてことを良く言っていましたが、娘が半分マジで「オバチャンホンポ」なるショップを企てようとは!
まあ、ブティックのネーミングにはアレですが(笑)
コンセプトとしては悪くないと思うんですけど‥
そして、これを書き上げたあと、気がついたことがありました。
自分の買ってきたズボンは、コールテンに似せて作ってある裏起毛のズボンでした。
なんか違うなと思ってた!フガーッ!!